第3作業部会(気候変動の緩和)

第3作業部会会合が平成26年4月7日-12日、ドイツ・ベルリンで開催されました。
平成19 年の第4 次評価報告書以来7 年ぶりとなるもので、この間に出された新たな研究成果や政策実行に基づく、地球温暖化の緩和に関する最新の知見が発表されました。

第3作業部会における主なポイント

これまでの温室効果ガス排出実態

温室効果ガス排出の年間総計の推移
温室効果ガス排出の年間総計の推移

これまでの温室効果ガス排出量は、1970年から2010年の間にかけて増え続け、10年単位でみると最後の10年間(2000~10年)の排出増加量がより大きくなっています。1970年から2010年の期間における全温室効果ガス排出増加量の78%は二酸化炭素(CO2)が占めており、2000年から2010年の期間でもほぼ同じ割合を占めています。

また、この40年間に排出された人為起源累積CO2排出量は、1750年から2010年までの260年間の累積排出量の約半分を占めています。(参考右図)

世界全体の温室効果ガスは、GDPと人口増加に伴って増えています。化石燃料燃焼によるCO2排出量の増加が主要な要因となっている状態が続いていると報告されました。(参考下図)

21世紀末における地上気温の変化
世界全体の温室効果ガス排出量推移の要因分析

1950年から2100年までの気温変化(観測と予測)
世界のCO2排出量

今後の対策取組と排出量の動向による気温上昇

追加的な緩和策のないシナリオでは、2100年における世界平均地上気温が、産業革命前の水準と比べ3.7~4.8℃上昇するとされています。

  • 【2℃とは】
    今回のIPCC報告書では、国際交渉において気温上昇の抑制の目標として関心が高まっている「2℃シナリオ」(気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑制する可能性の高いシナリオ)について詳しく報告されています。この「2℃シナリオ」の目標を達成するためには、影響がどの程度軽減され、適応が少なくて済むか、また、どの程度、温室効果ガスを減らし、どのような技術革新を進める必要があるかについて記述されています。
  • 【2℃シナリオを実現するための将来と緩和シナリオ】
    「2℃シナリオ」を実現する可能性が高い緩和シナリオは、2100年に大気中のCO2換算濃度を約450 ppmとしている。このシナリオでは、2050年には世界全体で2010年と比べて40~70%温室効果ガス排出量を減らし、2100年にはゼロまたはマイナス(※)の排出量にする必要があると報告されています。(参考下図)
    (※)植物などによるCO2固定や、発生したCO2を地中に埋めることによってマイナスにする。

シナリオにもとづく温室効果ガス排出経路
シナリオにもとづく温室効果ガス排出経路

2100年の大気中濃度で分離されたシナリオの主な特徴
2100年の大気中濃度で分離された
シナリオの主な特徴

対策の取組実施と将来予測

2030年までに今まで以上の緩和策の取組みをしない場合、長期的な低排出レベルへの移行が相当困難になり、2℃シナリオ実現の選択肢の幅が狭まると述べられています。

様々な想定下における緩和コスト
様々な想定下における緩和コスト

緩和策

「2℃シナリオ」を実現するためには、再生可能エネルギー、原子力、二酸化炭素回収・貯留(CCS)の合計による低炭素エネルギーの一次エネルギーに占める供給比率を、2050年までに2010年と比較して3倍から4倍近くに増加させる必要があると報告されています。(参考下図)
電力に占める低炭素エネルギーを2010年比で2050年に8~9割まで増加させるとともに、2100年までにCCSなしの火力発電をほぼ完全に廃止する必要があるとしています。ただし原子力には別のリスクが伴い、CCSは現実には商用化されたものではなく、一層の技術開発が求められています。

緩和対策
2050年における低炭素エネルギーの割合

緩和政策

第4次評価報告書以降、複数の政策目標を統合し、コベネフィット(共同便益)を増大させ、副作用を減少するように設計された政策への注目が増大しています。
GHGのキャップ・アンド・トレード制度を始めた国や地域の数は増えているものの、キャップが緩いまたは義務的でなかったため、短期的な環境効果は限定されています。
また、GHGの排出削減を特に目的とする税をベースとした政策が、技術や他の政策と組み合わさり、GHG排出とGDPの相関を弱めることに寄与してきた国もあります。
各国は、多様性に富んだ部門別政策を形成しており、それらの地域、各国、国以外の関係者の気候変動政策の間の政策の連携は、潜在的な緩和及び適応の便益を提供すると報告されています。