第1作業部会(科学的根拠)
第1作業部会会合が平成25年9月23日、スウェーデン・ストックホルムで開催され、温暖化の原因が人間の活動である可能性を「90%以上」とした2007年の第4次報告書の6年ぶり改定となる第5次報告書が9月27日に公表されました。
主な結論
地球温暖化の原因
- 人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い(可能性95%以上)
- 大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加している
現状(観測事実)
- 温暖化については「疑う余地がない」
- 1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇
- 最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温。
- 海洋は人為起源の二酸化炭素の約30%を吸収して、海洋酸性化を引き起こしている。
- 1992~2005年において、3000m以深の海洋深層においても水温が上昇している可能性が高い。
将来予測
- 今世紀末までの世界平均地上気温の変化予測は0.3~4.8℃である可能性が高い
- 今世紀末までの世界平均海面水位の上昇予測は0.26~0.82mである可能性が高い
- CO2の総累積排出量と世界平均地上気温の変化は比例関係にある。
最終的に気温が何度上昇するかは累積排出量の幅に関係する。
これからの数十年でより多くの排出を行えば、その後はより多くの排出削減が必要となる。
第1作業部会における主なポイント
気候変動の原因
人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の要因である可能性が極めて高い(95%)と発表されました。(参考右表)
また、大気中の二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)は、過去80万年間で前例のない水準まで増加していると記述しています。
気温
過去30年のそれぞれの10年は、先行する1850年以降のすべての10年より温暖であり、陸上および海氷面を合わせて世界平均した気温データは1880-2012年の期間にかけて0.85℃の上昇を示していると発表しています。
また、今世紀末には現在(1986-2005年)と比較して0.3~4.8℃上昇すると予測されています。
2007年に発表された第4次評価報告書では、今世紀末には1.1~6.4℃上昇と予測されていましたが、前提とする基準年や排出シナリオ、予測不確実性の許容範囲の幅が異なるため、単純な比較は困難なものの、予測結果としてはAR4と整合しているとしています。
海面水位
1901-2010年の期間中、世界平均海面水位は0.19m上昇したと発表しています。
また、世界の平均海面水位は21世紀中に上昇し、今世紀末には1986-2005年と比較して、0.26~0.82m上昇するとの予測を発表しています。
海洋酸性化
海洋は人為起源の二酸化炭素の約30%を吸収して、海洋酸性化を引き起こしていると記述、また海洋のPHは工業化初期以降、0.1減少したと発表しています。
気候変動は大気中の二酸化炭素の増加を増幅させる形で炭素循環に影響を及ぼす確信度が高いと記述、さらに炭素が取り込まれることで海洋酸性化が進行するだろうと発表しています。
北極などにおける海氷の変化
1979-2012の期間中、北極圏の年平均海氷面積の減少は10年あたり3.5-4.1%の割合であった可能性が非常に高い(90%)と記述されています。また、21世紀中に北極海の海氷は縮小かつ薄くなり続け、また北半球の春期の積雪が減少する可能性が非常に高い(90%)と発表されました。
また、南極やグリーンランドの氷床からの氷損失(氷床質量の減少)が増加している可能性が、南極については「高い」、グリーンランドについては「非常に高い」と発表しています。