群馬県地球温暖化防止活動推進センター
キーワード:スマートムーブ,公共交通の充実,自転車,エコ通勤,阻害要因
活動の目的
公共交通や自転車利用を促進することにより、自動車からの温室効果ガス排出削減を図るとともに、免許返納後の持続可能な移動手段の確保を目指す。
実施までの経緯
群馬県は一人当たり自動車保有台数が全国1のマイカー王国であり、運輸部門からの温室効果ガス排出割合が全国平均より10ポイント程度高い。公共交通、特にバスの衰退が著しく、輸送分担率は0.3%程度。県の調査では、4人に1人が100m未満の移動でも自動車を利用している実態がある。高齢ドライバーによる交通事故も目立つが、免許返納をためらう人が多い。公共交通の充実と自転車で安全に走れる道路整備が課題である。
主な取組み
*対象者:①県民、②バス事業者
*基調講演:「群馬の路線バス再生の可能性」(高崎経済大学大島登志彦教授)により、バスの輸送分担率低下の要因と回復の方向性が示された。
*話題提供1「地方バスの再生・活性化事例」(群馬県センター長代行片亀光)により、トラベル・フィードバック・プログラムなどの手法が有効であることが示された。
*話題提供2「バスのオープンデータ化」(群馬県交通政策課松田隆行補佐)により、県内バス路線の利用が容易になることが示された。
*フロア討論「自分事としての公共交通」を通じて、バス事業者の課題(運転手の高齢化や人手不足)も浮き彫りとなった。
*群馬県交通政策課及び群馬県バス協会によるバスのオープンデータ化の取組がバス利用の敷居を下げることが期待された。
*京都府宇治市におけるTFPの事例など、国土交通省の報告書が参考になった。
地域とのかかわり方
活動の様子等
効果的な実施のための工夫等
- エコ通勤への転換を阻害する要因を抽出するために、マイカー通勤者や経営者、総務人事担当者との意見交換を行った。
- 意見交換を通じて、自転車通勤に切り替える場合の通勤手当や通勤災害等に関する運用が阻害要因になっていることが浮き彫りとなった。
- 群馬県バス協会及び一部のバス事業者との意見交換を通じて、利用者と事業者及び行政のギャップを埋めていく必要性を確認できた。
- センターの指定元である環境部局だけでなく、交通政策課とも連携することにより、県の政策への理解が深まるとともに、県当局からも政策推進のパートナーとして認識されつつある。
活動の成果
- 平成28年度から30年度の3年間同一テーマでフォーラムを継続開催し、スマートムーブの重要性についての理解は深まったが、それを普及させるための具体策を展開するまでには至らなかった。今後行動変容を促すターゲットとして、①駅周辺事業所への公共交通利用通勤、②工業団地等への通勤バスの導入、③近距離通勤者への自転車通勤の奨励の3つを明確にすることができた。
- この活動を通じて、①超高齢社会に向かう地方において、免許返納後の移動手段としての公共交通を維持・再生することの重要性は理解されつつある。
- マイカーへの依存度を下げることにより、運動量が増加し、健康や体力の維持・向上につながる可能性を示すことが行動変容につながることが示唆された。
今後の課題・展望
①エコ通勤を普及拡大するために、個別事業所の意向や事情を把握することが必要。次年度においてアンケート調査を実施する。
②二次交通やデマンド交通など、利用者のニーズに対応する多様なサービスが求められる。