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将来予測の「SSPシナリオ」とは?

気候変動の予測においては、さまざまな可能性・条件を考えに入れた上で、気候変動が進行した場合の「すじがき」を「シナリオ」と呼んでいます。
気候変動の予測を行うためには、放射強制力(気候変動を引き起こす源)をもたらす温室効果ガスや大気汚染物質の排出量と土地利用変化を仮定する必要があります。
AR5 では、2100年頃の温室効果ガスの 大気中濃度のレベルとそこに至るまでの経路を仮定した代表的濃度経路(RCP)シナリオが使用されました。RCP2.6、RCP4.5、RCP6.0、RCP8.5 の4 つがあり、RCP に続く数値は2100 年頃のおおよその放射強制力(単位はW/m2 )を表します。
AR6 では、将来の社会経済の発展の傾向を仮定した共有社会経済経路(SSP)シナリオと放射強制力を組み合わせたシナリオから、下表の5 つが主に使用されています。

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これらはSSPx-y と表記され、x は5 種のSSP(1:持続可能、2:中道、3:地域対立、4:格差、5:化石燃料依存)、y はRCP シナリオと同様に2100 年頃のおおよその放射強制力(単位はW/m2)を表します。
放射強制力の水準は、仮定される社会経済発展の違いや追加的な気候政策の度合いで異なり、RCP シナリオとの比較や所定の温度目標との整合性を考慮して設定されています。気候政策が無い場合は参照シナリオ(政策有りの場合に対する参照)と呼ばれ、表の中ではSSP3-7.0 とSSP5-8.5 が該当します。
RCP シナリオに付加された数字とSSPx-y のy は、いずれも2100 年頃のおおよその放射強制力ですから、これらの値が一致している温室効果ガスの排出経路は近い関係にあります。
ただし、AR6 では1.5℃水準のSSP1-1.9 が追加されたほか、SSP ベースのシナリオの方が大気汚染物質の排出変化をより広範囲に扱っています。また、二酸化炭素(CO2)とそれ以外の物質の排出割合(例えば、SSP5-8.5 はRCP8.5 と比較して、CO2 の排出が多いがメタン(CH4)の排出は少ない)や、2100 年の濃度レベルに至る経路なども異なります。実質的な放射強制力は、全体的に、SSP ベースのシナリオの方が同水準のRCP と比べて大きくなっています。

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