COP18/CMP8の参加登録者数は、11,314人だそうです。内訳を見ると、政府:4,874名、国連関係者:353名、専門機関等:160名、国際機関:439名、NGO:4,727名、メディア:761名、となっています。私は、国立環境研究所から参加登録をしており、上記区分では、NGOに含まれます。
参加者の数がずいぶん多いなと感じるかも知れませんね。気候変動交渉は、政府間交渉なので、各国の政治家や、気候変動問題に関連する省庁関係者同士の議論がメインです。では、その他の人達はどのようにCOPに参加しているのでしょうか?
COPに参加する方法はいくつかあります。そのひとつとして、サイドイベントの開催とこれへの参加があります。COP期間中、多くの各国政府、国際機関、研究機関などが、自らの成果のお披露目のためにサイドイベントを開催します。もともとは、お昼休みと会議終了後の夕方の時間帯だけでしたが、近年は、開催希望が多いため、サイドイベント開催時間を拡大しています。
昨日(11月30日)、国立環境研究所は、マレーシア工科大学(UTM)と共同で、「低炭素アジア実現に向けて:科学と政策を橋渡しするモデルの役割」と題するサイドイベントを開催しました。
写真1:国立環境研究所とUTMとのサイドイベントの様子(写真提供:国立環境研究所社会環境システム研究センター 須田真依子氏)
このサイドイベントでは、最新の研究成果である「低炭素アジアに向けた10の方策」及び「マレーシア・イスカンダル開発地域の2025年に向けた低炭素社会実行計画」についての発表が行われました。発表に続いて、マレーシア、日本、中国、インドの研究者及び実務家7名によるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、これらの研究成果を踏まえ、どのようにしてアジア低炭素社会の構築を前進させていくか、また、そのために必要な支援とは何か、などについて議論がなされました。
参加方法の2つ目として、展示ブースを設置することや、その訪問があります。会場内には、政府、国際機関、NGO等によるたくさんの展示ブースが並んでいます。ブース設置を希望する各団体に与えられるスペースは狭いのですが、各団体が事業や研究成果等のアピールのために工夫をこらして展示しています。各ブースでは、成果の報告書等(近年は、USBメモリやCD-Rなどの形式で配布することが多いです)やグッズ(エコバッグやバッジなど)をもらったり、担当者に質問したりすることができます。
写真2:国立環境研究所のブース。温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による最新の温室効果ガスモニタリング結果などを展示して、全球気候モデルMIROC5を用いた将来の気候シミュレーション結果を動画で上映しました。(写真提供:国立環境研究所企画部 梅宮知佐氏)
図1:ブースの例。展示の仕方で印象が変わります
参加方法の3つ目として、交渉の傍聴があります。近年は、動画配信、交渉中のドキュメントの電子共有もかなり進んでおり、日本にいながら、遠くの国で開催されるCOPにバーチャル参加という方法もあります。また、会議に専門的な知見を提供する、気候変動問題に関連する国際機関や民間団体の人達や、交渉に自らの主張を反映させようとするロビー活動をする人達もいます。
このように、COPには、政府関係者として気候変動交渉に直接携わるだけではなく、様々な参加の道が用意されています。COPへの参加登録は、COPに認められた団体を通じて行うことになりますし、近年は、参加希望者が多いことから、一部、人数制限を課されることもあります。したがって、バーチャル参加以外は、誰でも自由にCOPに参加できるとまでは言えませんが、参加への道は広く開かれていると言えます。
COPは、気候変動問題に様々な観点から取り組んでいる人が一堂に会する場です。成果をアピールするには絶好の機会ですし、ここから新たなネットワークが広がっていくこともあります。私は、気候変動COPに参加するのは、今回で11回目です。私は、主に、気候変動への適応策(気候変動の悪影響にどのように対応していくか)に関する制度について、どのような経緯で合意が形成されているのかを把握するためにCOPに参加していますが、それだけではなく、毎年、COPの場で多くの人と会っていろいろな話をすることが、研究の活力になっています。
執筆:久保田 泉
(国立環境研究所 社会環境システム研究センター)