COP17では、京都議定書の第二約束期間が2013年に始まることや、
また2015年までに新しい枠組に合意することを含んだ
ダーバンパッケージが採択されました。
会議の決定事項のみを見ると、
なかなか自分とは別世界の出来事・・・と感じがちですが、
先の記事にもあるようにその決定にいたるまでの交渉や議論では、
さまざまな国がそれぞれの立場から時には冷静に、
時には感情を込めて発言し、
まさに地球温暖化が「人類」の問題であることを感じます。
特に途上国や温暖化の影響を受けやすい国々の発言は、
その危機感や会議がなかなか進まないことへの憤りが
会場の巨大なスクリーンを通して切々と伝わってきます。
発言時間は各国3分となっていましたが、
守る人はほとんどおらず、5分以上はざらです。
「議論の進め方に不満があります。
私はこんな結果じゃ国に帰れない。
こんな低い目標では受け入れられない、将来の話をしてるのに!」(ベネズエラ)
「たった一つのハリケーンで私たちの国はずたずたになる。
たった一つでです。
世界は解決策を欲している?
欲しいなら議論を進めましょう。
われわれは遊んでるんじゃない」(グレナダ)
「自主的な削減目標じゃ不十分。
それでどうなったか、この2年で見てきたでしょう?
第一約束期間と同じコンセプトで約束を作ってこそ、
意味があるのです」(ニカラグア)
「昨日の今頃(21:00頃)には、COPは終わっているはずだった。
はやく議論を進めましょう」(ブラジル)
「(気候変動に対する効果的なアクションを起こすために)
あとどれぐらいの災害が必要なんですか?」(エルサルバドル)
「アルキメデスは『テコがあれば地球を動かせる』と言った。
今人類にとって、京都議定書の第2約束期間こそがテコでしょう」(フィリピン)
会議中、新聞やテレビではCOPについてたくさんの報道がされましたが、
会議終了とともに耳にすることも少なくなります。
しかし「人類」の問題である地球温暖化は現実に目の前にある危機であること、
そして一刻も早く少しでも有効なアクションが必要であることは
決して忘れることはできません。
最終日、マシャバネ議長は会議の冒頭で
「人類のためにこの会議を行いましょう。
国ごとの思惑のためではありません。」
と呼びかけ、その後も
「ベストではない。
しかし今回の会議で達成したこともたくさんあります。
歴史を作りましょう。」
と会議の進展への協力を淡々と、力強く訴えました。
現代はまさに歴史的な転機の真っ只中にあり、
ここでどのような道を選ぶかがこの先の長い長い将来を決定付けます。
会議の中でも盛んに出てきた「責任(responsiility)」という言葉。
「個人がやってもそんなに効果はないから企業が…」
「企業より自治体が…」
「自治体より国が…」
「いや、他国が…」
誰かがやってくれるのを待つ余裕はありません。
それぞれの規模で、立場で「責任」を果たすことの重要性を
今改めて認識しなければいけないと感じました。
※宮城県地球温暖化防止活動推進センターでは、2011/1/28(土)にCOP17報告会を開催します。
詳細はこちらをごらんください!
http://blog.canpan.info/stopgwm/category_9/
執筆:江刺家 由美子
(宮城県地球温暖化防止活動推進センター)