すべての作業を終えて、COP17/CMP7が閉幕したのは、11日午前6時22分(現地時間)のことでした。予定されていた会期は、9日まででしたから、丸一日以上延長して交渉が続けられたことになります。このような長い延長は、最終日に夜を徹して詰めの交渉が行われるのが恒例となっている温暖化COPの歴史の中でも初めてのことです。
写真1 閉会会合直前に開催された、ストックテイキング会合の様子
ダーバン会合の成果としては、①すべての国が参加する温暖化対処のための枠組み交渉への道筋をつけたこと、②京都議定書第2約束期間の設定、③緑の気候基金、④カンクン合意の実施のための一連の決定の採択、の4つが挙げられます。中でも、重要な①と②の概要を紹介します。
① すべての国に適用される、2020年以降効力を発生し、実施される法的文書作成のプロセスの開始
遅くとも2015年までに、すべての国が参加する、温暖化対処のための法的合意を採択することになりました。「強化された行動のためのダーバン・プラットフォームに関する特別作業部会」を新たに設置し、同特別作業部会の下、この法的文書作成が行われます。
② 京都議定書第2約束期間の設定
2013年1月1日から、京都議定書第2約束期間を設定することに合意しました。第2約束期間の長さについては、決着がつかず、来年決定されることになりました。第2約束期間に参加を表明する国々は、自国の中期目標を数値目標に変換し、2012年5月1日までに提出するよう促されています。森林吸収源に関するルール、京都メカニズムに関するルール、対象ガス等のルールも採択されました。
今回は、何も合意できず、数か月後に再開会合を開催することになるのではないかと噂されました。閣僚級会合も長く続けられ、全体会合が始まったのは、10日の19時近くなってからでした。さらに、非公式協議ですべてがまとまったわけではなく、全体会合が始まってからも、様々な不満を表明する国がたくさんありました。それも情熱的に。
写真2 手続き面に問題があるとして、椅子の上に乗り、国名の札を高く掲げて、発言を求めるベネズエラ代表
結局、合意に達し、早朝のプレナリー会場は、盛大な拍手に包まれました。もちろん、不十分な点も少なくありませんし、各国それぞれ不満に思っていることも大いにあるでしょう。今後の交渉に委ねられていることもたくさんあります。しかし、各国が様々な事情を抱える中、交渉決裂を避け、次のステップにつなげる合意ができたことは大きな成果と言ってよいと思います。
ヌコアナ=マシャバネCOP17/CMP7議長は、「我々は、今日、共通の財産と地球の市民のために、非常に重要な一歩を踏み出した。私は、このダーバン会合で達成したことは、今日、将来を守るために、重要な役割を果たすと信じている」と述べました。
ダーバン会合開会の際に、フィゲレス条約事務局長が引用した、マンデラ元南ア大統領の言葉、「何事も成功するまでは不可能に思えるものである」(“It always seems impossible until it’s done”)という言葉。2015年までに、私達はこの言葉をかみしめることができるでしょうか。
写真3 ダーバンの夜明け
執筆:久保田 泉
(国立環境研究所 社会環境システム研究センター)