今回は、12月9日、10日の間の様子をお伝えします。この2日間は、技術的な助言に関する補助機関(SBSTA21、エスビーエスティーエー21)の全体会合と平行し、現在15つほどの非公式の交渉グループが開催されました。しかし、議論はあまり進まず、土曜日も非公式の交渉グループが開催されることになりました。
・デイリープログラム(英文)
交渉とは別に政府、研究機関やNGOなどによって開催されるサイドイベントが連日10前後開催されています。今日は、その中から以下のイベントをピックアップしてお伝えします。
ピックアップ
早急な対応を求めて。地球温暖化の影響体験を語る「Climate Witness」
国際環境NGOのWWFは、世界中の人たちから、すでに起こっている地球温暖化の影響について証言を集めインターネットなどを通じ で世界中に伝える「Climate Witness:クライメート・ウィットネス」プログラムを開始することを発表しました。
WWFインターナショナルのジェニファー・モーガンさんが、「交渉にあったっている国の担当者はこの人たちの話を聞き、緊急にこの問題に対して対応しなければならないと心から感じて欲しい。」と話しました。
COP10のイベント会場には、アルゼンチン、フィジー、インド、ネパールから実際に地球温暖化の影響を受けている地域に住む人が招かれ、それぞれの経験について語りました。
まず、最初に、アルゼンチンのサンタフェですでに起こっている地球温暖化の影響について、オズワルド・ボニノさんが話しました。ボニノさんは、「この 30 年間に降雨量がこれまで例がないほど増えてきている。そのため、ピカサ潟の水位があがり、洪水を引き起こしている。潟の面積が広がり、国道や鉄道が水に浸 かり、農地を失った人もいて、生活に大きな影響がでている。」と話しました。
次に、フィジー共和国のカバラ島に住むぺ二ナ・モセさん(写真左上: Photo courtesy of IISD /ENB-Leila Mead )が、「自分の住む村では、海面上昇のせいで、ただでさえ少ない飲料・農業用の真水が、塩害の被害を受けているのに加え、乾季が長くなり水の確保が難しく なっている。また、乾季と雨季の差が激しくなってきており、農業に深刻な影響を与えている。さらに、雨季には蚊が大量に発生し、感染症が広がるのではない かととても心配している。」と話しました。
そして、インドの西ベンガルにあるスンダルバンスへの影響について、アニル・クリシュナ・ミスリさんが話しました。102の小さな島からなる地域で、世 界最大のマングローブの林が広がっています。雨季が遅くなったり、降水量が過去15年間で大幅に増加したりして、スンダルバンスの生態系に大きな影響を与 えています。アニル・クリシュナ・ミスリさんは、「夏がさらに暑くそして長くなっている。島では、海面上昇と洪水によって農地を失う人が増えている。」と 話しました。
最後に、ネパールのナルブ・シェルパさんが、「ヒマラヤの氷河が急速にとけたせいで、氷河湖から大量の水が自分の村に流れ込み、家族は全ての財産を失ってしまった。世界の国々に対して、早く対策をとってほしい。」と訴えました。