今日も、以下のような議題について会合が行われています。議長などが出した手続き案、決定案もしくはまとめのたたき台にそって議論をおこなっていますが、あまり交渉は進んでいません。
(1)先進国から途上国への資金供与メカニズムとしてCOP7で新しく設置することが合意された「特別気候変動基金」を運営するための手引き
(2)京都メカニズムの1つであるクリーン開発メカニズム(CDM)のもとで行うことができる2種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」を実施するための運用ルール
(3)先進国(附属書国)が気候変動枠組条約のもとで、自国の地球温暖化対策の取り組み状況や温室効果ガス排出量について報告する「国別報告書」の評価
ピックアップ
サイドイベント EUの温暖化対策
欧州委員会は、最近提案した以下の2つの温室効果ガス排出量を削減するための法案についてサイドイベントを行いました。会場は関心のある人たちで会場はすぐに満員となりました。
ECの担当者からそれぞれの法案について説明が行われたあと、担当者と参加者の間で活発な意見交換が行われました。(写真右Photo courtesy of IISD/ENB)
1. 京都議定書のもとで削減対象となっている代替フロン類(HFC・PFC・SF6)の規制案
冷蔵庫、消火器、発泡剤など多くの用途において、代替フロン類の使用の禁止を明示しており、特に自家用車と軽自動車のカーエアコンについては、その冷媒に 使用されているHFC134aの代替技術実用化を見込んで、2009年から2014年までに段階的に廃止する内容となっている。全ての自動車メーカーと輸入会社が規制の対象となっているが、より温室効果が低いガスを使用したり、漏洩防止を強化したりすると割当量がもらえ、相互に割当を取引できる柔軟性も認 められている。
2. EU域内排出量取引制度と京都議定書のもとで行われるプロジェクトベースの京都メカニズム(共同実施/JIとクリーン開発メカニズム/CDM)とをリンクさせる法案
JI、CDMのもとで行ったエネルー起源の温室効果ガス排出削減事業によって得られたクレジットを、EU域内で取引できるクレジットに変換できる。しかし、EU域内排出量取引制度は、各国・各企業が行うエネルギー起源の温室効果ガス排出削減事業によって得られたクレジットのみを取引しているため、植林な どの吸収源事業によってえら得られたクレジットはEU域内では取引できない。
また、京都議定書では削減の大部分は国内で行うこととされているため、各国・各企業のJI、CDMのもとで得たクレジットが、EU域内排出量取引制度のクレジットの6%を占めた場合、欧州委員会が評価を行い、結果によっては、JI、CDMのクレジットを売却しなければならない。
2004年までにDirective(指定)として合意を目指す予定である。
サイドイベントに出席していたロシアと中国の政府代表団は、EUが現在検討しているEU域内排出量取引制度と京都議定書のもとで行われるプロジェクトベースの京都メカニズム(共同実施/JIとクリーン開発メカニズム/CDM)とをリンクさせる法案はとても魅力的であり、自国の企業にとっても利益となると発言しました。