COP8の終盤にさしかかった10月30日、午前11時30分より閣僚級会議が始まりました。同会議の開会にあたって、インドのアタル・ビハリ・バジパイ首相(写真右 Photo Courtesy of IISD /ENB-Leila Mead)が演説を行い、「インドは先進工業国に比べて温室効果ガスの排出量が非常に少ないのに、途上国は、不釣合いなことに温暖化の悪影響という重荷を背負わなければならなくなるだろう」としたうえで、「温暖化の悪影響に対する脆弱性とそれに対する適応していかなければならないという問題に対する途上国の関心に、十分な留意をする必要がある」などと述べました。
閣僚級会議に先立って、午前10時すぎからは、国連機関や政府間組織、NGOや企業の各代表者が演説を行うとともに、コフィ・アナン国連事務総長のメッセージが代読され、それぞれの組織からCOP8に対する期待などが述べられました。
また、インドの子どもたちの代表2人が、「もっと安全な地球のための努力を求めます」などとする「子ども憲章」を読み上げ、それをバール議長に手渡しました。(写真左 Photo Courtesy of IISD/ENB-Leila Mead)
閣僚級会議の開会式では、数十人のインドの子どもたちが動植物などに扮して自然を表現し、会場から注目を浴びていました。
午後3時からは、気候変動枠組み条約と京都議定書の実施をテーマに、各締約国の大臣によって、3つのセッションからなるラウンドテーブル(円卓会議)が 始まりました。共同議長の一人を務めたイギリスのマーガレット・ベケット環境・食糧・農村地域大臣は、開会にあたって、「この会合とデリー宣言は、条約と 議定書の実施のための標石となりうる」などと述べました。
ラウンドテーブル初日の30日には、第一部「状況の評価」が行われ、約30カ国の締約国の大臣とNGOの代表が、これまでの取り組みや温暖化をめぐる状 況に関する評価やデリー宣言に対する要望などを述べました。EUからは、京都議定書の目標達成に向けた取り組みや途上国支援におけるEUのリーダーシップ について報告がなされ、京都議定書の早期批准と発効を求め将来に向けたさらなる行動をデリー宣言に盛り込むべきだとする意見が出される一方、小規模島しょ 国(AOSIS)からは早急な行動を、そして後発発展途上国からは、特別な留意を求める声が相次ぎました。
この中で、日本の鈴木俊一環境大臣は、「まず第一に、京都議定書の早期批准と発効を強く訴えたい。第二に、すべての国の参加の必要性を訴えたい。第三 に、途上国がすでに大きな努力をしていることに、心から敬意を表したい。わが国はこのような途上国の努力に対して、マラケシュ合意や京都イニシアチブに基 づいて、引き続き積極的に支援をしていく。第四に、技術の重要性である。技術は、経済成長を促すだけでなく、より低い排出量を可能にすることが期待されて いる。われわれはさらにいっそうこの方向に向けて努力していくべきである。デリー宣言において、まさしくこの全人類的な問題に対処する新しい道を開くべき である。これがデリー宣言に盛り込まれるよう、強く希望する」と述べました。
31日には、第二部「気候変動と持続可能な開発」と第三部「総括」が開かれることになっており、これらがデリー宣言の内容にどのように反映されるのかが注目されます。
・デイリープログラム(英文)
・COP8ウェブ中継 (英語) COP8やSB17の会議、記者会見の様子をインターネットで見ることができます。