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vol.1 COP6直前インタヴュー 川口順子環境庁長官

Q.1.地球温暖化防止におけるCOP6の位置付けについて教えてください

1990年の排出量をベースとして日本は6%、アメリカは7%、EUは8%、先進国全体では5.2%削減することになっています。では各国がどういう方法で削減していくかですが、国際的に合意されたルールに従って行われないと最終的に本当にその国が削減目標を守ったかどうかどうかわからないわけです。意味のある形で削減目標を達成するためには、京都議定書の運用ルールについて合意していかなければなりません。今度オランダ、ハーグで行われるCOP6がまさしくそのための場なのです。

Q.2 COP6で具体的にどういったことを決めるべきだと考えていますか

たくさんあります。まず1番目は先進国が開発途上国に対する技術移転、キャパシティー・ビルディング、地球温暖化に対する適応措置など、途上国への支援・援助をどのような形で行うのかを決めなければなりません。
2番目に吸収源です。これは日本にとってとても大切です。吸収源には2つの関連する議定書の条文3条3項と3条4項があるのですが、特に3条4項についてどの範囲で、たとえば森林管理、農地管理、あるいは都市の緑化など様々な活動をどこまで含むか、さらに含まれた活動による二酸化炭素の吸収量が多すぎると一部の国は吸収源だけで削減したことになってしまうため、それをどのように制限をしていくかなどを決める必要があります。
3番目は排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムで、いわゆる京都メカニズムです。これらをどのような形で実施するか、具体的には3つのメカニズムの使用に上限を設けるのかどうかも大きな論点の1つとなっています。また、クリーン開発メカニズムについてはどのような事業を対象にするかについても検討しなければなりません。最後は遵守制度です。守らない国があったらその国に何をしてもらうのかというものです。たとえば削減目標を守れなかった国に、守るためにどのような政策と措置を実施してもらうのかなどをCOP6で合意しなければなりません。

Q.3 なかでも特に重視されている論点は何ですか 

2つあります。開発途上国に対して先進国がいかなる支援プログラムを作ることができるかが一番大切だと思います。2番目はやはり日本にとって大事な吸収源です。

Q.4 COP6で、日本政府の果たすべき役割は何ですか

まずひとつは途上国向けの支援プログラム作りだと思います。この点についてまず日本が期待されていると思います。次に、COP6で意見をまとめるリーダーとしての役割です。EUは中が非常に割れており、15の国が合意をするのに時間がかかります。交渉の最後の段階では、非常に動きを早くしていかなければならないのですが、柔軟に対応することは難しいと思います。また、アメリカは議会が中心となって、途上国の削減に向けた道筋がつかなければ京都議定書を批准できないとずっと主張しており、前向きに対応するには難しいものがあると思います。主要な先進国がこういった状態にあるなかで、日本への期待は大きいと思います。

Q.5 地球温暖化防止を進めていく上で市民に期待することは何ですか 

地球温暖化問題というのは自分が被害者でもあり、加害者にもなるわけです。たとえば自動車を運転するということはガソリンを使い、二酸化炭素を排出するということです。自分が被害者であり、加害者であるということを日本人全員が考えて行動することが大事だと思います。
(2000/10/26 インタヴュー)

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