カリキュラム概要
団体名 | 青森市立堤小学校 東北地方ESD活動支援センター |
---|---|
学年 | 6学年(3クラス) |
目標 | 1年間を通して地球温暖化に関わる学習を行い、温暖化に関わる課題をとらえ、地域の温暖化についてゲストティーチャー(GT)等から情報を集め、情報に基づいて温暖化を理解し、その対策として節電・節水・ごみ減量につながる具体的な取組を地域住民や中学生などと連携して行うことができる。 |
内容 | 昨年、東北地方ESD活動支援センター令和5年度「ESD for 2030 学び合いプロジェクト ローカルから考える気候変動教育」を受け、堤小学校では全校で地球温暖化に関わる学習に取り組み、6年生では「地球温暖化ストッププロジェクト」として取り組んだ。課題設定から課題解決、探究結果の発表、地域との連携等では様々な外部講師等から話を聞く、聞いてもらうなどの機会を設定し、仲間との対話を大切にしながら活動を展開した。活動の成果は今年度に引き継がれ、6年生だけでなく全学年の活動が意欲的主体的に実施されるにようになり価値ある活動であった。 |
大切にしたこと | ①ESDコーディネーターとして授業だけでなく年間を通して全校に関わり、学年と打ち合わせを密に行いながら活動を展開した。 ②児童が温暖化について「世界的な課題」を身近な「自分事」としてとらえ、その対策として主体的で意欲的な行動を促していくために「地域素材と地域人材の活用」「地域とつながる世界」を大切にした活動を行い、その活動と日々の授業をつなげる展開を学年と共に考えながら進めた。 ③地球温暖化防止への児童の思いを引き出し、大切にしながら、その実現を図るためにどんな工夫をすればよいのかを考え提案しながら進めた。 |
外部協力者 | ・渋谷種苗店 澁谷芙美子氏 ・青森観光リンゴ園 川村富子氏 ・ホタテ漁師 中村拓也氏 ・青森地方気象台 調査官 三上晃司氏 ・青森大学教授 藤 公晴氏 並びに留学生の皆さん ・学区の町会長さん |
フォトギャラリー

温暖化を疑う人々を納得させるための手立てを考える

地域のGTに学ぶ気候変動

児童の思いを実現したキュウリのグリーンカーテン

地球温暖化ストッププロジェクトの結果発表

中学校に届けた雑紙回収ボックス

留学生に聴く世界の気候変動
取り組み
総合的な学習の時間(各活動は45分間)
児童は5年生の時、地球温暖化防止アクションチェックで温暖化を抑えるための具体的な緩和策について学んだ。6年生では、総合と教科を関連づけ、日常の総合の学習と関連させながら次のような活動を行った。
①「地球温暖化を疑う人たちを納得させるための説明を考える」課題を提示し、それについて感想を出し合い、どんな内容で取り組んでいきたいのかを話し合い、その内容を集約することで自分たちがこれから1年間取り組んでいくことを見通すことができた。(写真1)
②「GTに学ぶ気候変動」では児童の思いを生かし、温暖化の影響を受けていると予想される方々(野菜に詳しい種苗店の方、リンゴ農家、ホタテ漁師)にGTとして来ていただき温暖化に直面する話を聞くことで、温暖化による野菜の生育への悪影響があるが良い影響もあるなどの貴重な話を聞くことができた。(写真2)
別日、児童の思いを受け青森地方気象台の調査官の話を聞く機会を設けた。温暖化の仕組みなどについて分かりやすく説明され、青森でも温暖化が進み、その影響がはっきりと出ていることをとらえることができた。
③「温暖化の適応・緩和策:グリーンカーテンづくり」に挑戦した。教室が3階南向きということで教室内にキュウリのカーテンを作り、直射日光を抑え少しでも節電につながることを実感できた。(写真3)
④「地球温暖化防止で自分達にできる取組を考えよう」では、6年生として全校に節電・節水・ごみ減量について具体的にどんなことを皆でできるのか自分達の考えを呼びかけ全校の取組に広めた。(写真4)
⑤④の取組の一環として、学区にある中学校の生徒に取組への協力を依頼した。(写真5)
⑥④の取組の一環として、地域の人たちにも協力してもらおうということで地域の町会長さんが集まる機会をつかって、青森で温暖化が進み様々な影響が出ていることや自分達が行っている取組への協力を呼びかけた。
⑦青森大学の留学生(ベトナム・中国・台湾)に自分達が調べまとめた青森の温暖化のことについて伝え、さらに留学生の自国の温暖化の影響や自国で行っている対策について語ってもらった。(写真6)
児童の変化
<児童・生徒の変化について>
担当教諭:2年間の学びを通して児童は、地球温暖化が身近な脅威であり、世界の大きな課題であるという危機意識を強くもち、地球温暖化の対策として自分達にできることを積極的に広めようとする姿勢が見られた。中学生になってもこの取組を続けたいとの多くの言葉に成長を感じた。
コーディネーター:GTの話を聴きメモをとる熱心さに温暖化に「自分事」として取り組む意欲を感じた。また、徐々に自信をもって受け答えがしっかりとできるようになり、また、温暖化防止への具体的な取組や探究結果の発表の素晴らしさにこの活動を通して学ぶ力を獲得できたと実感した。
校長:児童が自分事として考え、探究的に取り組む本気の姿に大きな成長を感じ、教科書では学ぶことのできない素晴らしい学びができた。
<児童・生徒の変化をどのようにして評価したのか>(アンケート等)
年度初めは、「アクティブラーニングふりかえりシート」を使って学級を比較しながら評価したが、労力がかかり過ぎることやその時間確保が難しいなどの理由から、感想文の読み取りに変更した。抽出児童の感想を時間経過から見ていくと地球温暖化への見方や考え方が深まっていることを読み取ることができ、活動意欲の高まりなども把握することができたが、どうしても主観的で数値化で把握できないため工夫が必要である。