COP12の会議もいよいよ最後の日を迎えました。
・11/17(金)のデイリー・プログラム(英語)
午前中は石油輸出国機構(OPEC)などの国際組織や、気候ネットワーク・アフリカなどの非政府組織(NGO)など、オブザーバー団体からの声明発表がありました。
午後には対話(ダイアログ)、SBSTA、SBIからの報告などが行なわれました。COP12はすべての作業を終了し、現地ナイロビ時間の午後4時41分に終了しました。
COP/MOP2はCOP12終了後に本会議(プレナリー)を開始しました。二日間続いた大臣の声明及び議論を経て、AWG、SBSTA、SBIからの報告が行なわれました。その後、ベラルーシの提案に関する決定がCOP/MOP会議に提出されました。ベラルーシの提案とは、排出削減目標をもった京都議定書の附属書B国にベラルーシを加えるというものです。当初、排出量を1990年比で5%削減するとしていましたが、8%削減するとの歩み寄った提案が行なわれました。この提案に基づき午後8時過ぎに本提案は採択され、記念すべき京都議定書の最初の修正が行なわれることになりました。
また京都議定書第9条に基づく第2回目のレビューは2008年に行なうこと、またそのレビューにはいかなる国の新しい排出削減目標も含めないことが決まりました。またロシアの提案(自主的約束)については次回の第26回補助機関会合(SB26)で議論し、その報告をもとにCOP/MOP3で議論することとなりました。キブワナ議長はナイロビ現地時間の午後9時29分、終了を告げる小槌をおろしました。
終了後、拍手する議長たち
次回はアジアでの開催となっています。正式決定はまだですが、2007年12月にインドネシアで行なわれるとの憶測がされていました。
・COP12・COP/MOP2で決定された事項はこちら(英語)
AWGのザミット・クタヤール議長(マルタ)。ロンドンの地下鉄の標識を模したTシャツには”Mind the Gap”の文字。直訳すると”(電車とホームとの)隙間に注意”ですが、第1約束期間と第2約束期間との隙間(ギャップ)を開けないぞ、という決意をユーモアを交えつつ表明しています。
Photo courtesy of IISD/ ENB-Leila Mead
日本のNGOからの声明
COP12・COP/MOP2の終了を受けて、NGOからは声明が出されています。
・気候ネットワーク「ナイロビ会議を終えて〜COP12、COPMOP2 声明〜」
・WWFジャパン「ナイロビ会議、京都議定書にとってほんの小さな一歩前進」
・FoE japan「進む地球温暖化問題解決に求む世界首脳のコミットメント」
・CASA「COP/MOP2声明 議論のために残された時間は少ない!」
その他の情報について
今回はJCCCAの派遣スタッフの制約、通信状況の制約などから限られたテーマの情報(主に次期枠組みに関する議論)しかお届けすることができませんでした。他にも多くの重要な議題が話し合われていました。主なものは以下の通りです。
・CDMの手続きなどに関連する事項
・二酸化炭素回収貯留技術(CCS)をCDMとして認めるかどうか
・CDMの配分の地域的な不均衡について
・CDMとして行なわれているHFC23破壊プロジェクトについて
・京都議定書のもとに設立された適応基金の運用方法について
・森林減少
・適応の5ヵ年計画
日本からもNGOの方々が数名いらっしゃっており、2,3日おきにレポートをアップしているようです。上記の議題についても詳しく書かれているものがありますので、そちらもご参照ください。
・気候ネットワーク「国際制度、交渉会議(COP)関連」
会議場内で発行している日本語の情報誌Kikoやブログがご覧いただけます。
・WWFジャパン「COP/MOP2開催中!現地レポート」
特にCDMについては詳しいレポートが掲載されています。
・FoE japan「COP12/COP/MOP2特集!!」
・CASA「COP/MOP2通信」
また会議場で、各国の代表やオブザーバーを問わず重宝されている情報源があります。日刊で出されているecoとENBです。多くの議題について多くの会議が同時並行で行なわれていますので、参加者も他の議題がどのような進捗になっているかの情報を得る便利な情報源として以前からよく知られています。
・ENB(アース・ネゴシエーション・ブルテン 地球交渉速報)
COP12で発行されたもの。ホームページではCOP12期間中の写真やサイドイベントの様子などもご覧いただけます。会議の情報(pdf)は日本語訳も掲載されています。
・eco(英語)
国際NGO「気候アクションネットワーク(CAN)」が発行しているニュースレター。
過去のecoはこちらから
現地にいるスタッフによるブログも掲載されています。
コラム 会議の必須道具
国連の会議は公用語を使って行なわれます。アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の6つです。国連のウェブサイトもこの6つの言語を選べるようになっています。
COPでもこれは同じ。複数の言語をあやつって交渉をすすめる際の必須道具が、イヤフォンとマイクです。
COPの会議場でもこの6つの言語については同時通訳サービスが入っています。どの国がどの言語で発言するかはわからないため、会議場の人はほぼ全員、写真のテーブル上に写っているイヤフォンを常につけた状態で会議に臨んでいます。中には最初の一言二言をロシア語や中国語などで述べ、肝心の部分は英語を流暢にしゃべる代表団もあり、聞いているほうもイヤフォンをつけたりはずしたり、混乱してしまう瞬間もあります。
会議の必須道具、イヤフォンとマイク
会議の発言は、写真に写っているマイクの下についている白いボタンを押すことから始まります。このボタンが押されると、最前列に座っている議長の手元の画面に押された場所の国名が表示されるようです。(画面を直接見ることはできませんので、推測です!)
中には間違えてボタンを押してしまい、議長に「○○国、発言をどうぞ」といわれ「間違えて押しちゃいました、ごめんなさい」という発言がされることも。また自分の国ではないところに座ってボタンを押してしまい、「○○国、発言をどうぞ」と議長にうながされ「自分は××国です、あいてたので○○国の席にすわってボタンを押しちゃいました。でも××国として発言したいです」と述べる国も。すべての発言は議事録に残るそうなので、訂正もきちんと行なう必要があるのです。
しかしこの機材がそろっているのは本会議場(プレナリー)に限られます。小さな会議場や、非公式の会議では、ほとんどの交渉が英語を中心にで行なわれることが多いようです。