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ドーハ会合の折り返し地点:「閣僚級の助けが必要」

 COPは、通常、2週間にわたって開催されます。1週目の土曜日には会議があるので、間の日曜日が唯一の休日です。

 昨日(12月2日)、私は、泊まっているホテルの近くにあるイスラム美術館に出かけてきました。会議場へ向かうバスの中から見える美しい建物が気になっていたのです。

 
写真1:イスラム美術館外観

 

 イスラム美術館には、3大陸にまたがった7~19世紀のイスラム文化を象徴する約800点の美術品や歴史的遺物がゆったりとしたスペースに並べられています。カフェやギフトショップなどもあり、ほっと一息ついてきました。


写真2:イスラム美術館のカフェ

 

 さて、今日は、ドーハ会合の折り返し地点に当たります。1週目の議論はどこまで進んだのでしょうか?本日夕方、COP18/CMP8議長が会合を開き、各会合の議長が進捗状況を報告しました。議題にもよりますが、現在は、多くの議題が政府関係者しか入れない会合で話し合われているため、NGOにとっては、このような会合は、交渉の進捗状況を知ることができる貴重な機会になります。


写真3:交渉の進捗状況を報告する会合の様子

 

 AWG-KP議長のMadeleine Diouf氏(セネガル)は、第2約束期間に削減目標を持たない先進締約国の京都メカニズムへのアクセスや、先進国全体の削減目標値の引き上げなどについては、事務レベルでの議論は対立が続いており、閣僚級のインプットが必要になるだろうと述べました。水曜日に議論を踏まえて合意文書の改訂版を作成し、AWG-KPの作業を終了させようとしているとのことです。

 AWG-LCA議長のAysar Tayeb氏(サウジアラビア)は、適応(気候変動影響にどのように対応していくか)、技術、能力構築、対応措置(温暖化そのものではなく、温暖化対策によって引き起こされる影響を意味します。産油国は、先進国の温暖化対策によって収入が減ることになるため、その補償を求めています)について、あまり進展がないと報告しました。同議長は、一部の議題項目では、少人数グループが既に草案作成作業にとりかかっているとし、他方で、閣僚級の助言が必要な問題もあると述べました。

 ADP議長のHarald Dovland氏(ノルウェー)は、共同議長がADP作業計画の要素を含めた非公式覚書を作成し、締約国の意見を踏まえ、この非公式覚書を改定し、火曜日に議論すると述べました。

 SBSTA議長及びSBI議長からも報告があり、土曜日にSBSTA及びSBIは閉会したが、残された課題について、協議を続けているとのことです。技術の開発及び移転、国別適応計画、非附属書Ⅰ国の排出削減行動に関する国際協議と分析、特に脆弱な国の損失と損害に関する作業計画については、さらなる協議が必要とされました。これらは、2020年までの枠組み、2020年以降の枠組みの両方にとって重要な項目です。

 アル・アティーヤCOP18/CMP8議長は、締約国に対し、合意ができていない問題について、解決策を見出す努力を続け、金曜日までに作業を完了するように求めました。アル・アティーヤ議長は、明日までにSBSTA及びSBIから送られてきた作業を終え、水曜日には、AWG-KP、AWG-LCA、ADPを閉会するつもりであると述べました。

 事務レベルでの交渉はかなり難航しているようです。「閣僚級の助けが必要」という言葉が何度も聞かれました。日本の長浜環境大臣は、水曜日に閣僚級会合において発言を行う予定になっています。

 今回、閣僚達の助けを得て、前向きな合意ができるでしょうか?

 

執筆:久保田 泉
 (国立環境研究所 社会環境システム研究センター)

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