COP16の初日の11月29日、日本政府が「京都議定書を作成した時は議定書は世界の排出の56%の排出を規制していたが、アメリカが離脱し、その他の国の排出が増加したことにより、今では27%しかカバーされていないことになる。」、「いかなる条件、状況においても日本が京都議定書の基の第2約束期間の削減目標を約束することはない。気候変動は京都議定書では解決できない。日本は新たな一つの合意を求めており、すべての国が参加する条約の中でしか合意できない。」と発言したことが、大きな波紋を呼んでいます。
「すべての国が参加する議定書」とか、「一つの合意」が間違っているわけではありませんが、反対する国が多数を占めるなかで、現実的には極めて困難になっています。
条約現在の交渉は、途上国と先進国との信頼関係を築いていくことでしか前に進みません。例えどのようなポジションであれ、建設的に相手に理解を求める発言でなければ、亀裂を深くするだけです。このような発言は、実質的な議論を進めることを妨害することにしかならないように思います。
日本での報道は少ないようですが、ロイター、新華社通信、メキシコの新聞など10をはるかに越える海外のメディアが一斉に報道しています。ロイターは、途上国のNGOの発言を紹介する形で、「日本が京都議定書を殺す発言」と、刺激的な見出しになっています。
12月3日午前には、世界の若者たちが、「I LOVE KP」のTシャツとハートマークで、京都議定書(KP)の継続を訴えていました(写真)。
執筆:早川光俊
(一般社団法人地球温暖化防止全国ネット運営委員/地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事)