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vol.31 合意は日本にかかっている

議長と締約国の間で、昨晩出されたプロンク議長の新しい最終合意案を各国が受け入れるかどうかの協議が続いています。今日の夜までの合意を目指し、プロンク議長議は朝から、環境十全性グループ(スイス、韓国、メキシコなど)、CG11(ロシア、ウクライナを除く中東欧諸国グループ)、EU、アンブレラグループ(日本、カナダなど非EUの先進国)、途上国グループ(G77 +中国)の順で協議を行い、16:30頃協議の進捗について第1回目の報告しました。
EU、環境十全性グループ、CG11は、議長の最終合意案の内容に問題点を指摘しながらも、そのままのむことに合意しました。途上国グループ(G77+ 中国)では、一部の国が反対し、意見はまとまりませんでした。アンブレラグループでは、ノルウェーやアイスランドなどが最終合意案を受け入れる旨を表明し ました。しかし、3つの国(日本、カナダ、ロシア)はあくまでも協議を継続させることを強く要請しました。
夜の12:00過ぎになり、プロンク議長から協議の進捗について第2回目の報告が行われました。途上国グループは午後、議長の最終合意案受け入れをほぼ 合意しました。しかし、日本やカナダ、ロシアが遵守問題の内容(特に法的拘束力のあるものにするかどうか)について強く反対したため、再度この3カ国が受 け入れるように最終合意案の内容修正も念頭におき、再度協議が行われています。
23日の朝6時30分になりました。今も日本が最後まで法的拘束力のある遵守制度について反対し、協議は難航している様子です。

プログラム (UNFCCC Daily Program)
アースネゴシエーションブレティン(ENB)22日号(英文) 

ピックアップ -プロンク議長の新しい最終合意案の内容は?- 

途上国問題(資金供与・技術移転、補償問題など)
途上国に対する資金供与については、供与する資金の額は明示されていないこと、資金の拠出は強制ではなく、自発的なものであること、という点で途上国の譲歩が強く出る形となった。 資金供与の方法は、条約に基づくものと京都議定書に基づくものの2つに分けられる。
* 条約に基づく資金援助(3種類)
GEF(地球環境ファシリティ)の増資
気候変動特別基金(Special Climate Change Fund)を設立
二国間あるいは多国間で行なわれる資金援助
このうち、気候変動特別基金は、気候変動による影響への適応、技術移転、経済の多様化などの目的で使用される。また、これらに加えて、後発発展途上国の適応活動を特に支援するための基金を設立することも合意された。
一方、京都議定書に基づく基金は、気候変動に適応するための活動を支援する適応基金である。この基金はクリーン開発メカニズムで得られる利益の2%を拠出することによってまかなわれる。
京都メカニズム
共同実施とクリーン開発メカニズムで実施する事業に原子力関連事業の利用を避けること、京都メカニズムの利用が国内対策に補足的であるべきという点など、厳しい規定となった。
冒頭では、先進国の排出の責任を考慮して、一人当たり排出量の差を縮めるような方向で京都メカニズムの利用を行なうことが明言されている。排出削減にお ける京都メカニズムの利用については、そのうち意味のある部分を国内の削減によって行なわなければならないこと、その評価は遵守規定の促進部によって評価 されるとされている。
原子力の利用については、共同実施)、クリーン開発メカニズムともに、「先進国は原子力施設をホスト国に対して使用することを控える」との規定が入って いる。 また、クリーン開発メカニズムについては、政府開発援助(ODA)の利用がこれまでのODAの単なる振り替えであってはいけないことと途上国に対する資金 援助と区別されるものであると示されている。 
排出量取引における売り過ぎの防止のためには、割り当て排出量(2008年から2012年の間に排出できる量)の90%と最近の排出量(の5年分)の 100%のうち少ない量を保持しなければいけないとされている。この規定によって、ロシア・東欧諸国はホットエアー(1990年以降に経済が大幅に後退し たことによって発生した割当排出量と実施の排出量の差)の売買は防げないものの、これらの国々の売りすぎの防止はできる。ただし、実際に排出量を売りすぎ て不履行に陥った場合、取引された排出量にどのような影響が発生するのかについては規定がない。
吸収源
第3条3項、第3条4項、共同実施とクリーン開発メカニズムによる吸収源によって、WWFの分析によると、先進国全体(京都議定書で排出削減目標を持つ 国)で3.4%の削減に相当する吸収量が認められた。これによって、先進国全体での吸収源を除いた削減目標は、5.2%から1.8%になる。なお、日本は削減目標6%のうち4.9%を吸収源で稼げることになる。
吸収源の対象となるのは、1990年以降の人為的な活動によるものであり、そのことを締約国が証明しなければならない。
第3条3項、第3条4項で新しく追加される吸収源である森林管理による吸収量、共同実施で獲得する吸収量をあわせ、各国の状況を考慮した上限(日本は 1300万トン)まで自国の削減目標をの達成に使うことができる。また、クリーン開発メカニズムで獲得する吸収量は、削減目標の1%を上限として算入する ことが認められている。
遵守問題
削減目標が達成できなかった場合の帰結について、「回復(Restoration)」という表現が使用されている点が大きな特徴である。これは懲罰的な帰結に反対する日本に配慮した規定となっている。
遵守制度として、遵守委員会を設立し、その中に促進部と履行強制部を設置し、議定書の義務が守られない場合の措置を定めている。促進部は、約束期間 (2008年から2012年)の前と約束期間中の排出削減義務、約束期間前の温室効果ガスの排出目録作成と提出や、国別報告書の提出について不遵守が起こ りうる場合の早期警告を行う。
一方、履行強制部は、排出削減義務、温室効果ガスの排出目録作成と提出、京都メカニズムへの参加資格条件の不遵守を対象にする。不履行が判明した際の帰 結として、達成できなかった削減量の1.3倍を次期約束期間で削減すること、遵守行動計画を策定すること、排出量取引でクレジットを売る資格を失うこと、 温室効果ガスの削減が遅れたことによる環境被害に対する補償が挙げられている。
また、これらの手順と仕組みについては、COP6で京都議定書と不可分のものとして採択される法的文書が定めるとしている。
Report by SAKATA, Yusuke

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