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vol.9 COP8、デリー宣言を採択、終了

終盤を迎えたCOP8は、11月1日の午前中の全体会議で第17回科学的技術的助言に関する補助機関会合(SBSTA17)に関する文書をすべて採択した後、予定時間を大幅に過ぎた20時13分にデリー宣言議長公式案の改訂版(>PDFPDF)(FCCC/CP/L.6.rev.1) を発表しました。その後、COP8は、残りのすべての議題に関する議論のまとめや決定を全会一致で採択し、20時57分に終了しました。
最終的に採択されたデリー宣言には、議長公式案の決議事項で最下段にあった、京都議定書の批准を強く求める文言がその最上段におかれています。また、持 続可能な開発のための国家戦略に温暖化に関する主な分野を統合させることや、緩和(温室効果ガス排出削減などの)措置と適応措置のための情報交換、温暖化 の悪影響や対応措置が途上国にもたらす影響、エネルギーをはじめとする民間セクターでの投資を通じた国際協力の推進、技術移転の強化などが新たに盛り込まれています。
同宣言の採択後、各交渉グループの代表などから、バール議長に対する謝辞や賛辞とともに、同宣言文の内容に関する不満の声が相次ぎました。EUは、「未 来の行動についての記述が欠けている」として、その内容に懸念を表明、今後も温暖化の取り組みでリーダーシップを取っていくと述べました。また、カナダは 吸収源の問題が宣言文に述べられていないとしながらも、COP9でそれが引き続きとり上げられるよう、期待を示しました。また、ナイジェリアは、同宣言が 途上国にとって実質的かつ象徴的な意義をもつものとなったとして、これをすべての国々にとっての「勝利」とするとともに、米国が建設的な役割を果たしたと 述べました。そして、中国は、COP8が温暖化交渉の標石になるだろうと述べました。一方、米国は、デリー宣言が持続可能な開発と気候変動の連関をその主 な内容としたことで、その意義を評価しました。ツバルは、「デリー宣言がインド料理のように辛味のきいた中身をもっていないことに失望した」と述べまし た。日本政府代表の西村六善・地球環境問題担当特命全権大使は、デリー宣言が未来に向けた意味を持つと述べました。そして、「これは全会一致で採択された 文書であるから、私も、そしてほかの誰もそれに完全に満足しているわけではない。でも、私たちは自らの行き詰まりを崩さなければならない。私たちがここで討論したことは、お互いの団結のためであり、分裂のためではない。したがって、その成果は私たちすべてにとって利益となるものだ」などと語りました。
一方、10月31日の深夜に一旦終了していた第17回実施に関する補助機関会合(SBI17)の全体会合は、11月1日15時55分、COP8に先立っ て最終会合を開き、残されていた非附属書I締約国の国別報告書のガイドラインと資金供与メカニズムについて合意して、約2時間半ですべての審議を終えました。(写真右 Photo Courtesy of IISD /ENB-Leila Mead)
非附属書I締約国の国別報告書のガイドラインについては、エストラーダSBI議長によって、決定草案(FCCC/SBI/2002/L.26)に国別報 告書の提出の頻度などに関する6つの改訂案を加えましたが、あとはすべて直ちに関連の文書が採択されました(FCCC/SBI/2002/L.24、 FCCC/SBI/2002/L.25、FCCC/SBI/2002/L.26/Add.1)。
資金供与メカニズムに関する審議では、マラケシュ合意によって条約のもとで新たに設立されることとなった特別気候変動基金の運用に関する決定草案 (FCCC/SBI/2002/L.22)のCOP8決定項目2aに対して、インドが地球環境ファシリティー(GEF)に対するさらなる指針を準備するプ ロセスを直ちに開始し、COP9で同基金の運用を開始することを明記することを提案しました。さらにインドは、GEFの報告に関する議論のまとめ (FCCC/SBI/2002/L.19)の第2項で、「SBIはGEFトラストファンドの第三次増資が成功し実質的なものとなったと満足とともに留意す る」と記されているのを削除するよう求め、これらの提案に反対する日本やカナダ・EUと対立しました。このため、エストラーダ議長は17時47分に審議を 30分ほど中断しました。その後、同議長は、特別気候変動基金の運用に関する決定草案(FCCC/SBI/2002/L.22)の COP8決定項目2aの妥協案として「GEFに対するさらなる指針を準備するためのプロセスを直ちに開始する。このプロセスは開かれた形で完了するものと し、GEFが直ちに同基金の運用を開始することができるよう、指針を伴った決定をCOP9で行う。」とする改訂文を示し、合意に至りました。

デイリープログラム(英文) 
COP8ウェブ中継 (英語) COP8やSB17の会議、記者会見の様子をインターネットで見ることができます。

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