第22回締約国会議(COP22)

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パリ協定に関する特別作業部会第1回会合第2部(APA1-2)閉幕

 2002年4月に国立環境研究所に入ってから、出張でいろいろな国に行きましたが、今回ほど、外国に来たと感じたことはなかったように思います。

 その要因のひとつは、リヤドに泊まっていることです。8日の記事でも紹介しましたが、リヤドとは、中庭を持つ伝統的なモロッコ建築の邸宅を改装した宿のことです。高級仕様のものもそうでないものもありますが、いずれも伝統的な建築を再利用しているので、基本的な構造はどのリヤドも同じです。噴水のある中庭を囲むように部屋が配置されています。


写真1:私が泊まっているリヤドの中庭

 

 屋上は、テラスになっています。朝食をここでいただくことが多いです。



写真2:ある日の朝食。12日の記事で紹介したミントティーもあります。

 

 部屋は、こんな感じです(写真3)。COP22会場から近く、安全で、そこそこ手ごろな価格の宿ということで選んだら、この宿だったので、部屋に入った時にはとても驚きました。友人にこの写真を見せたら、「わー!お姫さまベッド!」と言われました。この部屋には机がないので、ソファやベッドに体育座りして、膝にPCを載せて、このレポートを書いています。お姫さまとはかけ離れた生活です。


写真3:部屋の様子。毎日、バラが飾られています。

 

 さて、今日から、会議は2週目に入りました。今朝は、参加登録をする人の行列ができていました。オブザーバー機関については、COPの参加枠は、1週目に何人、というように割り当てられます。1週目だけ、または、2週目だけ参加する人もたくさんいます。


写真4:参加登録をする人の列

 

 今日は、日中は、小グループでの議論が続けられました。明日(15日)からは、閣僚級会合が始まりますし、記念すべき第1回パリ協定締約国会合(CMA1)も開催されるということで、可能な限り今日中に、補助機関会合(科学的・技術的な助言に関する補助機関会合(SBSTA)、実施に関する補助機関会合(SBI)、パリ協定に関する特別作業部会(APA)での議論を決着させておく必要があります。つまり、小グループでの議論の結論を持ち寄り、補助機関会合の閉会会合で採択し、COP/CMP/CMAに送るのです。COP/CMP/CMAでは、補助機関会合の合意内容を確認し、これに対して、締約国から異議が唱えられなければ、採択となり、「COP/CMP/CMA決定」となります。

 パリ協定に関する特別作業部会(APA)の閉会会合が始まったのは、22時半頃のことでした。BaashanAPA共同議長(サウジアラビア)が合意文書案を示し、採択されました。

 合意文書の内容は、詳細ルールの交渉を、今後どのように進めていくかを示すものです。今後、各国は、排出削減などの国別の温暖化対策の目標(NDC)、透明性、適応に関する報告、グローバル・ストックテイクなどのテーマごとに、決められた期限までに意見を提出し、来年5月に開催される会合で開催するワークショップ等の議論を通じて、詳細ルールの確定を目指して、交渉していくことになります。


写真5:APA共同議長を務めるBaashan 氏(サウジアラビア)とTyndall氏(ニュージーランド) (写真出典:ENB)

 

 合意文書の採択の後、各交渉グループから、今回の議論や今後の交渉の方向性について、いろいろな意見が述べられました。主なものを紹介します。

・G77+中国(すべての途上国が参加する交渉グループ)(代表:タイ)
 パリ協定は、異例の短期間で発効したが、それに甘んずることなく、詳細ルール交渉が進展していることを示していく必要がある。2020年までの温暖化対策のレベルアップや、途上国への資金支援・技術支援・能力構築支援を充実させることが重要。

・環境十全性グループ(メキシコ、リヒテンシュタイン、モナコ、韓国、スイスから成るグループ)(代表:スイス)
 2週目にも詳細ルールの交渉を続けることに合意できなかったことは遺憾。

・アンブレラ・グループ(EU以外の先進国グループ。日本もここに入っています)(代表:オーストラリア)
交渉のペースが遅いことに懸念を示した。同グループ内の各国の交渉官に対し、詳細ルールに関する非公式な議論を続けることを奨励する。

・EU
 各項目について、詳細ルール交渉の議論の道筋がはっきりしたことは喜ばしい。パリ協定の下でも、適応策に関する資金支援は重要であり、EUはこの分野での資金支援を続ける。

・小島嶼国グループ(AOSIS)(代表:モルジブ)
 今後の詳細ルール交渉の中では、国別の温暖化対策目標に関するガイダンスを、地球全体の平均気温上昇を1.5℃までに抑えることを目指して、各国の努力を促進するものにすることが重要。

・後発発展途上国(LDC)グループ(代表:コンゴ民主共和国)
詳細ルールの中身についての議論が進んでなかったことに遺憾の意を表明。

・同志途上国グループ(LMDC)(代表:ボリビア)
先進国と途上国の差異化など、多分野にまたがる問題についても議論する必要がある。

・独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)(代表:コスタリカ)
温暖化対策を推進し、各国内で確実に実施する必要がある。詳細ルール交渉の今後の作業について、スケジュールを明確に決める必要がある。

・アフリカ・グループ(代表:マリ)
 パリ協定下でも、京都議定書下の適応基金は重要な役割を果たし続ける。2020年までの世界全体の温暖化対策の大幅なレベルアップは極めて重要。

 各交渉グループの見解を聴いてみると、詳細ルールの内容に踏み込んだ議論があまりできなかったことに不満を述べている国が多いようです。今後の交渉で重視すべき点については、各交渉グループがこれまでに主張してきたこととあまり変わりはありません。

 Tyndall APA共同議長(ニュージーランド)は、パリ協定に関する特別作業部会第1回会合第2部(APA 1-2)を中断しました。そして、2017年5月に、ボン(ドイツ)でAPA 1-3を再開することを提案し、締約国もこれに同意しました。

 

文・写真(写真5を除く):久保田 泉(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)

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